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【レビュー】日本3.0【感想】

読書
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今回は『日本3.0』のレビュー・感想です。400ページというボリュームながら、最後の最後まで、論理的かつ熱い。新しい時代をつくる側にまわるのか。この変化に気がつかないままでいるのか。本書はそこを問います。 新しい時代の幕開けを共に歩む。本書はそんな友のような一冊です。

 

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【レビュー】日本3.0【感想】

タイトルの「日本3.0」には、日本が明治維新、敗戦後の高度経済成長、につづく【第3のフェーズ】に入ったということと、これから日本を動かす団塊世代に次いで人口の多い【30代】世代にむけたメッセージ、という意味が込められています。

「日本3.0」の著者はNewsPicks編集長で30代の同世代

著者はNewsPicks編集長の佐々木紀彦さん。1979年生まれで、スタンフォード大学で修士号取得。2012年「東洋経済オンライン」の編集長に就任。リニューアルから4ヶ月で同サイトをビジネス誌系サイトNo.1に導くという経歴の持ち主。
タイトルに惹かれ、手にとり、あとがきを読みました。 

「日本3.0」は、あとがきまで熱い! 

この本を書くにあたり、私がつねに念頭に置いていたのは、30代の人たちです。
(中略)
別に、上司や同僚に嫌われてもいいじゃないですか。
別に、世間で痛烈に批判されてもいいじゃないですか。
別に、こっぴどい失敗を犯してもいいじゃないですか。
応援歌のような熱いあとがき!
そして、プロフィールを読むと同世代。
同世代でこんなに熱い方が居る!とワクワクしてきました。
  
[aside]補足

私はあとがきから読むタイプです。

[/aside]

各界で活躍する方々の金言の数々。言葉を引き出し再編集する著者のすさまじい知見。 

本書では、各界の活躍者たちと、活きた言葉が紹介されます。
例えば、ソニー最後の異端と呼ばれる近藤哲二郎さんの「人材3段階論」。
人材には3つの段階がある。
ひとつ目が「今日の延長に明後日がある」と考えるルールフォロワー。彼らは、今の勝ち組、負け組をトレンド解析して、勝ち組のまねをする。
2つ目は、「今日の延長では明後日は苦しい」と考えるルールブレイカー。彼らは今のあこがれのモデルをどう壊すかを考える。
3つ目が、「今日の延長にあさってはない」と考えるルールメーカー。彼らは自分で将来の場を作り出す。
(ページ33)
著者の取材活動に裏打ちされた、こういった金言の数々が本書には多数散りばめられています。
 
私も仕事でインタビュアーをしたことがあります。
取材を受けている側も気がついていない、本質的な言葉を手繰り寄せることはなかなか難しいです。
引き寄せるためには、取材者になり切れるほどのその仕事への理解、業界への理解が必要です。
 
本書で紹介される活躍者の業界は多岐に渡ります。人材、教育、製造、販売、流通など様々。その業界を理解し、その業界において、どんなことがすごいことなのかを見極められる、すさまじい知見に出会えます。
 

今、30代の私たちが直面してる「日本3.0」時代の変化。何が変わっていくのかを的確に捉える。

では、「第3のガラガラポン革命」において、何が「移動」と「下克上」を引き起こすのでしょうか。私は次の「10のファクター」が複合的にガラガラポンをもたらすと読んでいます。
  1. 年功序列の終わり
  2. 正社員と非正規社員の格差解消
  3. 男女逆転
  4. 外国人労働者の登用
  5. 難民
  6. 業界再編・伝統企業倒産
  7. スタートアップの興隆
  8. 第4次産業革命
  9. 交通革命
  10. グローバル化
 (ページ59)
自分の価値観が変わったと感じていました。ただそれは個人的な生活の変化によるものかと思っていました。
本書の指摘は、当たり前に私の生活と社会がつながっていることを気づかせてくれます。  

「日本3.0」の働き方。企業には7つのプロフェッショナルが必要だ。 

端的に言えば、「決めるプロ」と「サポートのプロ」と「チーム作りのプロ」と「売れるプロ」と「伝えるプロ」と「創るプロ」と「買うプロ」。この7つのプロが会社の主役となり、企業をリードしていきます。(ページ235) 
「消滅リスクの低い仕事」は、医者、先生、編集者、アートディレクター、コンサルタント、バーテンダー、保育士といった、そのコミニケーションが必要であり、経験・アイディア・機転が求められる仕事です。
「消滅リスクの高い仕事」としてわかりやすいのは、受付係、タクシー運転手、レジ係、データ入力係、自動車組立工といった仕事です。これらの定型化しやすい仕事は、駅の切符売りの人たちが自動改札になってお役御免となったように、徐々に減っていくでしょう。(ページ227)
環境の変化がもたらす「日本3.0」時代の働き方や、結果の出るチームのあり方にも、本書は言及します。
自動運転化の実証実験のニュースをみても、「日本3.0」が語る未来は、現在進行形の非常に近い未来の話。
その時代に必要とされる人材は、今まで良しとされていた方向の努力、その努力の積み重ねとは違う方向性の人材です。

動く。学ぶ。磨く。変わらないことがリスクだ。

「動く」といっても、いろんな「動く」があります。
転職するのもいいですし、社内で部署異動するのもいいでしょう。海外赴任するのもいいですし、留学したり、家を引っ越すのも良い。映画や演劇やアートを観て、心を動かすのもいいですし、何かのテーマについて、脳を動かして考えぬくのもいい。すなわち、脳と心と体の運動量をとにかく増やすべきなのです。
動けば動くほど、経験値が高まり、アイディアが生まれ、センスが磨かれ、出会いが生まれ、人脈が広まり、体力が高まり、チャンスが降ってきます。今のような変化の時代には、止まること自体がリスクです。動いてたとえ何かが失敗したとしても、それは長い目で見ればきっと財産になります。(ページ7)
時間の生み出し方、生み出した時間で何をするのか。
家庭に、仕事に、自分のことに、どのように時間をつかうか。30代は問われます。

右肩上がりで、答えがあった「クイズ王」の時代は終わった。

日本の受験勉強を中心にしたシステムは、物知りな「クイズ王」生むことができます。ただし、古典や芸術に親しんだ「教養人」を生むことはできません。日本には頭がいい人がたくさんいますが、教養人はほぼ皆無です。 (ページ294)
今までの時代で必要な人材を産むための学習システム。そのシステムも時代が変われば、当然古くなります。
 
古くなったシステムを否定し、革新的創造をするための5つの力。これから生きていくために必要な5つの力について、ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授の研究結果が紹介されます。
  1. 関連付ける力:知識分野、産業、地理を超えた意外な結びつきを生み出す力
  2. 質問力:破壊的な質問を通じて、新しい洞察や可能性、方向性を誘発する力
  3. 観察力:周りの世界に注意深く目を向け、新しい洞察やアイディアを得る力
  4. 人脈力:多様な考え方を持つ人々との交流を通じ、アイディアを見つける力
  5. 実験力:つねに新しいアイディアを試し、さまざまな仮説を検証していく力

だから、答えをつくりだせる、力強い教養が必要だ。

正解が頻繁に変わる、もしくは、正解がない状態では、多様な意見をぶつけ合わせ、何らかの仮説を作り出し、それを実行し、成功すればさらに資源を投入し、失敗すれば、再び意見をぶつけて新たな仮説を生み出しそれを実行する。そのフィードバックのプロセスをいかに速く、的確に行えるかによって、ビジネスでも、政策でも、個人の人生でも、勝負が決まります。(ページ294)
これからの時代を生きていくために新たな仮説が必要です。「日本3.0」を生きる私たちは、現在進行形のルールメイカーです。そのための教養と実践が必要になってくるわけです。
 
新しい時代をつくる側にまわるのか。この変化に気がつかないままでいるのか。
本書はそこを問います。 

「日本3.0」の口コミ・評判です

熱量のある本で、良い意味で危機感を煽られた。特に今の20後半~40代には堪えるのでは。2020年東京オリンピックを境目にぞくぞくと世代交代が始まる。第4次産業革命で環境は激変、単純作業も職人技もAIに置き換わっていく。求められるのは今までにないものを創造していく力、関連づける力。教養があるとこのへんが違うのだろう。読んでるとつくづく自分には教養がねえなと思い知らされました。本屋行くとどうも教養ブームな感じだし、会社が立てた目標を粛々とこなしているだけでは危なそうだ。

AI、ロボットは2020年までにどこまで私たちの生活や仕事に適応されているでしょうか。いづれせよ、これからの時代は専門職スキルを複数個持っておくようにというのは、よく聞くことですし、実際そうだとは感じます。

2020年を契機に日本社会が大きく変化していくことを説明した上で、どのような社会に変化するのか、そうした社会に順応(?)するためにはどのような姿勢が必要かということを述べた、おもにこれからの社会を担っていく30代の人々に向けて書かれた提言書。ちょっと乱暴に読者を煽る部分もあるが、これはあえて読者の敵愾心を煽る意図があると思われる。ただ、明治維新や大事に世界大戦のような何か究極的な外圧なくして、日本がどのくらい変わるのかはちょっといぶかしいところもあるのは否めない。

「日本3.0」まとめ

400ページというボリュームながら、最後の最後まで、論理的かつ熱いという書物はなかなかありません。

新しい時代の幕開けを共に歩む。本書はそんな友のような一冊でした。
 
 
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
けん( @ikukenlabo )でした。

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