不安や恐れ、怒りなどネガティブな感情は日々現れてくるもの。そうした感情との向き合い方に苦しんだり、悩んだりしている方も多いのでは。
私もよく、仕事に対して悲観的になったり、過去を振り返ってくよくよしてしまいます
本書はそうしたネガティブな感情をどうにかしたい、と思っている方におすすめの一冊です。
テレビ東京の社員プロデューサーだった佐久間宣行氏が、社員時代もフリーになってからも、様々なプロジェクトに挑戦される中で、培ってきたメンタル術が描かれています。
働く中年男性の等身大の悩みがリアルに描かれており、働く業界は違えど、おそらく共感するものばかりでした。またその対処法も、具体的な方法と示してくれながらも、新しい発見や切り口を伴って、実に腑に落ちます。
読んでいく内に「佐久間さんとお酒を飲みながら、相談に乗ってもらっている」そんな気になってくる魅力にあふれた本書。
ネガティブな感情をもっともポジティブに扱うさまに、心が軽くなる気持ちのよい1冊でした。
ごきげんになる技術の3つのポイント
ごきげんになる技術を読んで感じたことをまとめると、以下の3つです。
1. 自分の感情を客観視する「日記」「書き出す」「メモする」
生きている限り、そして自分のメンタルを把握しようと思わない限り、人は一生通じて自分の機嫌や不安に振り回されてしまうもの。だからこそ、ネガティブな状態に陥る時、反対にメンタルが良いときの状態の時はどんな出来事があった時なのかを日記という客観的なデータから分析する。これはごきげんに生きる上でとても大切なことだと思うようになりました。
(「ごきげんになる技術」41ページ/著:佐久間宣行)
本書では、まず自分自身を客観視する重要性が強調されています。その具体的な手段として「日記」「書き出す」や「メモする」行動が勧められています。感情の波に飲み込まれないために、普段から自分の感情パターンを記録し、その都度対処法を持っておくことで、より効果的に気持ちを整えることができるといいます。
特にネガティブな気持ちに焦点を当て、自分がどのような状況で不調になるか、失敗から何を学べるかを分析するプロセスが重要とされています。それによって、自分という「乗り物」をより理解し、適切に取り扱う方法を身に着けることができるのです。感情を客観的に捉えることで、日々のごきげんを保つための実践的なアプローチが紹介されています。
2.仕事をよりよく進めるためスタンス
なるべく社会や他人の価値観に振り回されない、過去の自分の価値観にもしがみつかないでいることが大切です。今のあなたにはどんな状態が1番楽しくて、どんな環境なら気持ちが穏やかでニュートラルでいられるのか、心の声に耳を傾けて、人生のアセスメント作業を自分のためにしてください。
(「ごきげんになる技術」120ページ/著:佐久間宣行)
高い目標を持つことは素晴らしいですが、それを叶えるためには現実的な小さな目標を設定し、着実にクリアしていくことが必要です。
他者や社会の価値観に左右されず、自分の興味や違和感を大切にし、流されることなく新しい企画を生み出す姿勢を保つために、自分がどんな環境で最も心地よくいられるかを見つけ出すことが不可欠です。
人生のアセスメントを定期的に行い、今の自分にとって最も適した選択をしていくことで、夢や目標を叶えた先にも、自分が「ごきげん」でいられる人生が築けます。
3. あえて「ネガティブワクチン」を打つ
不安やリスク、失敗、こういったことに自分のメンタルがやられないようにあらかじめ考えられる。ネガティブ要素を想定して出来る限りの対策をしておく。仕事での自分なりのメンタルの整え方があえてネガティブになる。むしろネガティブ思考や感情を活用するということなのです。それはたとえて言うなら、ネガティブワクチンを打っておくようなもの。
(「ごきげんになる技術」68ページ/著:佐久間宣行)
本書が独自の視点を提示している点として、「ネガティブワクチン」という考え方があります。
これは、仕事や人生において、あらかじめ最悪の事態や失敗のリスクを想定し、その上で対策を練ることで、実際にネガティブな状況に陥っても動じずに対処できる準備を整えるという考えです。
このアプローチは、常にポジティブであることを求めるのではなく、むしろ現実的な視点で自分を守り、安定したメンタルを保つための防衛策といえます。失敗やリスクに対する現実的な心構えを持つことが、長期的な成功に繋がると本書は強調しています。
ごきげんになる技術のまとめ
『ごきげんになる技術』は、心のバランスを保ちながらより良く生きるための実践的なヒントが詰まった一冊。
日記やメモを活用して自分の感情を客観視し、分析することで、ごきげんを保つスキルを養います。またそれと同時に、最悪の事態をあらかじめ想定する、といったネガティブな感情を最もポジティブに扱う「ネガティブワクチン」が重要。これにより、不安や失敗への対応力を高め、長期的なメンタルの安定を図る方法に、新たな発見がありました。
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