父親が子どもの未来を輝かせる
モンテッソーリ教育の実践者が著者
本書は、吉祥寺こどもの家園長として日々モンテッソーリ教育にあたられている百枝義雄さんの著書。こどもたちだけではなく、日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成センターの実践講師として、モンテッソーリ教師養成に携わった経歴もお持ちの方です。
モンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育については、下記がわかりやすかったので、引用します。
Help me to do it myself
自分でできるように手伝ってください。
この言葉をモンテッソーリ教育はとても大事にしています。
(中略)
周りにいる大人は自ら伸びようとしている子供たちのために少し手伝ってあげれば良いのです。モンテッソーリによる、子供との接し方を知ると、大人は、気持ちがラクになると言われています。
目の前の子供が何をしたがってるのかがわかり、わが子の成長を心から楽しめるようになるからです。
幼い子供たちの毎日は一つ一つできることが増えていく日々です。
「ひとりでできた!」というよろこびの機会をたくさんつくってあげたいですね。(モンテッソーリの子育て/クーヨンBOOKS)
父親目線からのモンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育は、子どもの育ちをよく見つめる(観察する)ことから始まった、子ども中心の保育・教育理論および保育・教育実践です。
(引用モンテッソーリ ラ パーチェ)
育児関連の書籍を読んでいる中で、モンテッソーリ関連の書籍にいくつか出会いました。
その考え方に非常に共感するものが多く、読み進めていく中で出会ったのが本書です。
モンテッソーリ教育に限らず育児関連の書籍は、基本的に母親向けに書かれていることがほとんどですが、本書はタイトルにもあるように、徹底して父親向けの内容になっています。
無知だけど何とかするしかない
職場で業務を遂行する上で話が感じたことのない不安やぎこちなさを、子供と過ごすときに感じていませんか?
もしそうだとしたら、おそらくその理由は「子どもについて無知だから」ではないでしょうか。
今の日本において、私たちは親になるトレーニングを全く受けないまま親になってしまいます。
(ページ18)
「無知だけど、なんとかするしかない」
のが育児と思うわけですが、
本書はその無理やりな私にやさしく諭してくれます。
大まかに3つの局面に分けて把握すると、育ちの様子を捉えやすく、
また大人としてのサポートの方法もクリアに考えられるようになってきます。
(ページ19)
俯瞰できるような立ち位置を提示してくれます。
こどもたちはお腹のなかで既に自分を教育している
おなかの外に出てからは、この自己教育力がすっかり見えにくくなってしまいます。なぜなのでしょうか。
おなかの外、つまりこの世の中には、子どもが自分を育てるのを邪魔する存在がいるからです。
つまり、能力の育ちの鍵になってくるのは、大人の「環境整備」と「待つ姿勢」です。
(ページ26)
おなかの中の赤ちゃんは、自然と指しゃぶりをしています。これはおなかの外に出たときに、おっぱいを吸うための準備をしているそうです。赤ちゃんであったとしても、おなかの中にいる段階から自分を教育できる力が備わっているそうです。
大人の生活の安寧と子供たちの育ちの両立
もちろん機器が壊れたり、高価な美容液がカーペットに吸い込まれたり、
お子さんが怪我をしたり誤飲したりすることはとても困ります。
その意味では正しいことですが、
お子さんの「幸せな大人になるための自分を伸ばす」チャンスが奪われたことも事実です。
(ページ47)
「それやっちゃダメ!」と頭ごなしに言ってしまうことがあります。
確かに怪我をしたら困るのですが、
「こぼされたら後片付けが大変だな・・・」といった気持ちがあるのも事実です。
ではどうすれば、大人の生活の安寧と子供たちの育ちの保障は両立できるのでしょうか。
(ページ47)
教師(親)は「教える人」ではなく、子どもを観察し、自主活動を援助する人的環境要素としているのがモンテッソーリ教育とされています。
教えようとするから、その答えを求めてしまう。そして、答えを期待してしまうし、ストレスにもなるわけです。
私は観察する環境であり、援助する環境。
そう思えると、心がすっとしてきました。
奥さんの気持ちの拠り所。それも育児。
これは、家族内の関係、つまり家族のメンバー相互の人付き合いがうまくいくように、
お父さんがその関係を工夫し、調整しましょう、と言う意味です。
ここでは、
●お母さんの育児の辛さを和らげる。
●子どもと大人の関係をよくする。
●子どもを取り巻く人間関係をよくする。
という三つのマネジメントを考えていきましょう。
(ページ108)
本書では、父親だからこその育児のありかたも提示してくれます。
父親が必要とされる役割を明確してくれました。
奥さんが「今の常識」を一生懸命説明しようとしても、(ここだけの話ですが)一般にお年寄りは頭が固く、なかなか新しい考えを受け入れてくれません。
(中略)
奥さんが、今まであげてきたような育児の悩みを1人で抱えきれなくなって、あなたに相談したとしたらあなたはどうしていますか。
「子供のことを思い、任せているはず。俺は仕事で疲れているんだ。そんな愚痴を聞かせるな」と言う態度をとっていませんか。
(ページ116)
奥さんの気持ちの拠り所になること。
これも父親が出来る育児参加です。
こういった場面でとかく意見を言いたがってしまうのですが、それは全く問題解決に至っていないことを痛感します。
口コミ、評判
いわば「ビジネスマンのための父親学・実践編」。実際、子育て経験のおかげで自分のマネジメントはかなり向上したように思う。自ら成長できるよう促す観点などなかったものね。
もともとおしゃべりな方なのかもしれないが、全体的に文章が冗長で説明過剰なのが良くない。もっとコンパクトにすっきりまとめてくれたほうが読みやすい。その上で、図式(たとえば、5つの敏感期の図とか)なども入れて説明したほうが、お父さん向けっぽかったのではないか。
著者の言う、父親の役割は”家族マネジメント”である、ということについて、普段の会社や仕事現場での例を引き合いに解説されていて、読み進めるうちにその理由や対処の仕方がわかってきます。部下がいるビジネスパーソンであれば、「子育て」も同じだというのがとても理解できるのではないでしょうか。
会社と家庭内では、なかなか同じようにはできないと思いますが、これを意識しているかどうかで関わり方や見方が全然違う気がします。
まとめ
父親側からのモンテッソーリ教育について丁寧に描かれた本書。
何故その教育が必要なのか理論的に説明してくれます。
また、仕事に置き換えたら、という例えがところどころに散りばめられていて、 イメージしやすい点も多いのではないでしょうか。
こどもへの目線と、そして、奥さんへの目線。
本書は父親ならではの育児で、大切なことを教えてくれました。
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